アルパカニット

上質な天然素材、アルパカニット

「しっとりなめらかな手触り」と「あたたかさ・保湿性」において、天然毛の中でも上質なアルパカニット。ペルーの生産者から日本に届きます。

アルパカさん

しっとりなめらか、そしてあたたか

ラクダの仲間であるアルパカは、南米ペルーやボリビアの標高2,500~4,500メートルの高原に放牧されています。直射日光や寒暖の差が激しい過酷な自然環境から身体を守るため、アルパカは非常に細い毛で身体全体を覆っています。この毛は油分を含み、1本1本がストローのような空洞状になっており、この空洞に温かい空気を閉じ込めることで優れた保温性を持ちます。

アルパカ製品は、しっとりなめらかな手触り、そしてあたたかさと保湿性において、天然毛の中でも上質な素材と言われています。耐久性にも優れ、シワや毛玉になりにくいのも特徴です。

牧草地を軽快に歩くアルパカさん

地球と人にやさしい動物

アルパカは高地で農家と共に暮らしており、年に1、2回、11月~4月頃に毛刈りを行います。毛刈りは、アルパカと共に暮らす農家自身が行います。アルパカ農家にとってアルパカは家族同然。慣れ親しんでいる人に毛刈りをしてもらう方が、アルパカがストレスを感じず安心でき、大人しくしてくれるので、安全に毛を刈ることができます。刈り取った毛は、農業に適さないペルーの高地で暮らす農家にとって大事な収入源となります。

アルパカは牧草地に自生している草を食べて育ちます。地面から出ている葉の部分だけをはむので、根っこが残り周囲の植生が保たれます。足裏には硬い蹄がなく代わりに柔らかい肉球がついているので、牧草地へのダメージを最小限に抑えることができます。農業にあまり適さないような高地に住んでいるので、土地や水を人間と奪い合うこともありません。アルパカは、大地とも人とも共生するやさしい動物です。

アルパカニット生産者のフェリシアーノさん一家

受け継がれるペルーのニット文化

製品を届けてくれるのはペルーのリマ郊外に暮らす、フェリシアーノさん一家です。フェリシアーノさんと奥さんのマリアさんは共にチチカカ湖近くの標高3,825メートルに位置する、毛織物や羊毛取引の中心地フリアカの出身。編み物を家業とする環境で育ちました。編み物はすべてお母さんの仕事を見て覚え、22歳の時に仕事量が多いリマへ共に移り住みました。

リマの郊外には茶色い裸の山がぽこぽことあり、色とりどりの家が建ち並んでいます。カラフルな家々は地方から仕事を求めて出てきた人々が自分で建て住みついた家がほとんどです。そんな山のふもとにフェリシアーノさんの自宅兼、工房はあります。

緑のカーディガンはマリアさんが愛情込めて手編みしたもの

奥さんのマリアさんは小さい頃から家で羊を飼い、毛刈りをして手紡ぎをし、ニットを編んでは市場に売りに行く…というのが自然な暮らしだったため、編み物が手になじんでいて手編みがとっても早くてきれい!自分のお母さんから教わったその技術を4人の娘たちにも教え、現在は長女のマリーナさんを中心とする娘たちも共に仕事を支える心強い存在になっています。マリアさんは「孫たちが12歳くらいになったら同じように編み物を教えたい」と、孫たちの成長を心待ちにしています。

スチームをあてているフェリシアーノさん

現在は工房では手編みをすることはあまりなく、デザインや製品の形によってさまざまな機械を使い分けて編むなど、近代化しつつあります。しかし機械がすべてをやってくれるわけではなく、人の手も欠かせません。特に慣れていないときれいに仕上がらないアイロン工程は、フェリシアーノさんの長年のスキルが活きる大事な作業。この工程により、形とサイズが整えられ、なめらかで肌触りのよいアルパカニットが出来上がります。

工房でフェリシアーノさん一家と共に働いている女性ワーカー達は皆シングルマザー。彼女たちは主にかぎ針で紐を編んだり刺繍をするなど、細かい手作業を担っています。フェリシアーノさんは、そんな彼女たちが子供を連れてきて安心して一緒に仕事ができる環境を守っています。わたしたちがフェリシアーノさんたちと一緒に物作りをすることは、ペルーの高地でアルパカとともに生きる人々の暮らしを支え、古くから受け継ぐ毛糸の文化や編み物の技術を次の世代につなげ、守ることにつながると考えています。