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セントメリー

ミラー刺繍製品の生産者

ひとつひとつ手刺繍され、きらきらと光るミラー刺繍製品は、インドの生産者団体セントメリーから届きます。刺繍を通してスラムの女性たちの仕事づくりを行い、高い品質の刺繍を提供するため、厳しい品質管理で製品を作っています。


スラムの女性たちの仕事づくり

シスター・シルビア(左)とシスター・ルシア(右)

セントメリーは、インド北西部のグジャラート州の州都、アーメダバードにあります。スラム街の入り口付近に位置し、経済的に恵まれずスラムに住む社会的地位の低い女性たちを中心に、この地域の伝統的なミラー刺繍の商品を作り販売し、彼女たちに現金収入の機会をもたらす仕事づくりを行っています。

スペイン系の修道院としてこの地に根付いたセントメリーですが、スラムの女性たちの窮状を知るにつれ、なにかできないかという思いがシスターたちの間で強まり、スペイン人のシスター・ルシアは自身が好きだった刺繍や裁縫を使って、この地の伝統的なミラー刺繍を使った商品づくりをしようと思いつきました。

20代前半で単身インドに渡ったシスター・ルシアは、当初インドの尋常でない暑さや言葉などで大変苦労しましたが、今ではヒンドゥー語もマスターし、現地の女性としっかりと意思疎通をしています。

スラムで、たった数人に刺繍を教え始めましたが、現在は300~400人の女性たちに仕事を創り出せるまでになっています。

セントメリーと刺繍の仕事

若き日のシスター・ルシアと刺繍チェックを受ける女性たち

セントメリーから仕事を受けた女性たちは、生地と刺繍糸を持ち帰り刺繍を施します。完成すると、週に2回あるシスター・ルシアのチェックに持参します。

シスター・ルシアにチェックを受ける時間は緊張が走ります。刺繍や糸の色などが指定通りか、丁寧に仕事がされているか等、厳しいチェックを行います。

刺繍の仕事の質が悪いと、その場で駄目な箇所の刺繍部分をはさみで切られてしまいます。チェックを無事通過した者のみに、次の仕事の布と糸が渡されるのです。

女性たちは必ずグループに属し、そのグループのリーダーが新しく入ってきたメンバーの面倒を見ます。グループの誰かの家に集まって仕事を行うこともあり、楽しくおしゃべりしながらも、手がものすごい速さで動いています。

大きなベッドカバーなどは、4人がかりで刺繍を協力して仕上げることもあり、手間も時間もかかります。

インドの女性たち

刺繍をする女性たち

教育を受ける機会がなく読み書きもままならない女性たちは、社会的にだけでなく家庭内でも低い地位に甘んじていることが多く、「セントメリーの仕事によって女性に現金収入があることで、夫や義父母の自分に対する態度が協力的に変わった」と言うスラムの女性たちの話しぶりは、目が輝き堂々と見えます。

セントメリーでは毎年ボーナスとして、余剰金をワーカーの女性たちで分配するシステムもあり、何が欲しいかを皆で話し合って決めます。欲しかった鍋や調理器具などボーナスで手にした女性たちはとてもうれしそうです。

女性たちの自立のため洋裁教室も開いており、たくさんの若い女性たちが基礎的な洋裁の技術を学んでいます。

また、未来を担う女の子たちの教育機会が少ないこの現状をなんとかしたいと、敷地内の別棟に学校を運営しています。縫製、看護、美容系、会計などを学ぶ機会を提供し、女性の働く場を増やす取り組みも行っています。