カレーの壺シリーズ 生産者

マリオさん生産者紹介

カレーの壺 生産者

第3世界ショップの人気商品「カレーの壺シリーズ」は、スリランカのマリオさんから届きます。ビジネスを通じて地域の人々の生活向上に役立ちたいと、職員の福利厚生の向上やスパイス農家の自立支援など、地域の発展のために積極的に取り組んでいます。

カレーの壺生産者紹介

スリランカの食事風景

カレーの壺ペーストの原型 カレーペーストができるまで

マリオさんの住むスリランカは、インドの南、インド洋に浮かぶ小さな島国で、地元のシンハリ語で「光り輝く島」という意味のしずく型をした島です。

マリオさんは1986年に奥さまと5人で会社を立ち上げました。若いころに様々な仕事を経験し、自分の人生を模索する中で、縁あって当時いた会社の研修で日本に長期滞在する機会がありました。そこで日本の様々な文化や慣習に触れたマリオさんは、その後の生き方を左右するいくつかの大きな収穫を得ることになります。

マリオさんの故郷スリランカの食事はとてもスパイシーですが、ただ辛いわけではなく、素材に合わせ、季節に合わせ、料理をする人が食べる人のことを想いながらさまざまなスパイスをバランスよく組み合わせた、奥深い味わいとなっています。

昔からスリランカの主婦達は市場で必要なスパイスを何十種類も買ってきて調合をし、それを各家庭の秘伝のおふくろの味として代々母から娘へ受け継いできました。毎日のご飯作りはスパイスの調合からなので、日々時間がかかります。

マリオさんは日本に滞在していたとき、日本のいわゆる「カレールウ」に出会いました。意外なことに、スパイス文化のスリランカには、カレールウのような製品は存在していなかったのです。そこで、マリオさんはスパイス類をあらかじめセットにしたものを販売し、後にはそれを加工してカレーペーストにするという着想を得ました。

帰国したマリオさんが開発したこれらの製品は、長時間の台所労働から女性たちを解放したとして、主婦たちから熱烈な支持を受けました。

ワーカーと従業員宿舎

日本式経営を生かしたマリオさんの会社

カレーペーストやスパイスを製造する会社を立ち上げるにあたり、マリオさんは日本に滞在していた際に学んだ従業員を大事にする経営や、現場での実践的な改善力とチームワークを重視する考え方を経営方式として取り入れました。

当時のスリランカの会社としては画期的な、いわゆる福利厚生とチームワークの重視です。社宅を建て、3食つきで工場勤務の社員とその家族が快適に生活できる環境を無償で提供しています。また、障害者の雇用や男女の別などについても“いかなる差別もない。宗教、男女、障害のありなしで判断しない“というポリシーのもとで、長期雇用や女性リーダーの登用などを積極的に行っています。

マリオさんは、スタッフに「あなた方の次の世代のために良い仕事をしなさい」と言います。子供たちに仕事を残すために今一生懸命働くことで、事業が発展し、子孫もこの事業を通じてさらに繁栄ができるという考え方です。

農業しかなかった地域に新しい産業と雇用を創出したマリオさんは、事業が持続的に発展するように、そしてそれが地域の、さらには国全体の発展につながるように従業員を導いています。

カレーの壺生産者紹介

左)ナンダおばさん(カレーの壺のラベルの女性モデル)、右)工場訪問時のスタッフ

第3世界ショップとのお付き合い

第3世界ショップとマリオさんは縁あって1994年からお付き合いが始まりました。

「スリランカの食文化を世界の人々に紹介したい、そしてビジネスを通じてスリランカの地域の人々の生活向上に役立ちたい」というマリオさんの思いと、「行政に頼る既存のやり方ではなく、それぞれの地域の身近な問題を自分たちが動いて解決したい」という第3世界ショップの理念の中に、「身近な問題を、自分達の手で、より良い社会に」という共通点をみいだし、共に歩んでいくことになります。

やがて日本人の口に合うカレーペーストの製品開発を協働で進め、ようやく2001年に「カレーの壺ペースト」を発売しました。その後も絶え間なく交流や開発をすすめ、2016年現在、お互い5人で始めた会社は共に30周年を迎えています。

レモングラス農家の様子

マリオさんのさまざまな取り組み

スリランカを農村から元気に盛り上げたい、人々を幸せにしたいという想いが高じて、マリオさんは2000年に農村開発プロジェクトRAPIDをたちあげました。

当時の農家は地元の卸売市場や仲買人くらいしか視野になく、栽培方法も従来のやり方を踏襲しているだけ。そこで、他国との価格競争に振り回されないよう、農産物の品質を高めて付加価値をつけようと、農家に自主的な参加を呼びかけ、栽培技術や品質管理を学び品質向上に努めました。

その結果品質の高いスパイスを生産できるようになり、安定した収入や環境にやさしい栽培方法の習得はもちろん、なにより自分の手で発展をつかむチャンスを得たことで農家の誇りや自信を養い、自立を手助けすることにつながりました。

RAPIDのプロジェクトで様々なことを学んだ農家は、2014年SAFENETというフェアトレードのNGOを立上げ、より一層の自立や地域の発展への貢献に努めています。

北部プロジェクトの牛乳を運ぶ男性

マリオさんのこれから

常に地域の人々の発展を考えるマリオさん。現在長く続いた内戦の主要地域に新たな産業をつくることにも尽力しています。

1983年~2009年まで続いたスリランカの内戦の主要地ではもともと主に農業で生計を立てていましたが、内戦終結後も土地を追われ難民になった小規模農家、戦争未亡人、元少年兵等が多数おり、彼らを支援するために牛や鶏等を使ったプロジェクトを2012年から立ち上げています。

戦争で痩せてしまった土地や家畜を豊かにするための様々なプロジェクトを始めていて、例えば搾乳量が減ってしまった牛乳を味付きの牛乳加工品として販売し、それにより農家や工場での仕事創りや栄養面での強化に取り組んでいます。

その他にも小規模農家の農産物を使った加工品などの開発を進め、その加工過程での副産物なども地域に還元することにより、より土地や家畜が豊かになり作物の生産量や仕事が増えるように、長期的目線でプロジェクトを進めています。