フェアトレードチョコレートについて

フェアトレードチョコレートとは

チョコレートの原料となるカカオ豆は、「カカオベルト」と呼ばれる赤道を中心に緯度約20度以内の熱帯地域で栽培されており、その多くは仲買人が決めた価格で取引され、立場の弱い生産者に適正な価格が支払われず、十分な収入が得られないことで、貧困や児童労働などの問題が生じています。

フェアトレードチョコレートは、チョコレートの原材料となるカカオ・砂糖・バニラなど、原料生産者から適正な価格で直接購入し継続的に取引する「フェアトレード(公正な貿易)」により、生産者の生活向上を支援し貧困問題の解決に取り組んでいます。農薬不使用など環境に配慮したものも多く、作る人にも、食べる人にもやさしいチョコレートです。

第3世界ショップのフェアトレードチョコレート

栽培している人・過程が分かるものにこだわり、原料供給地への技術支援や安定的な購入によって、小規模農家の生活向上を応援しています。作り手が安心してくらしを設計し、誇りをもって仕事に取り組むことは、さらなる高品質なチョコレート作りにつながります。素材と製法にこだわり、最長72時間もかけじっくり練り上げることで、添加物は一切使用せず、なめらかな口どけと、カカオの芳醇な香りが広がる極上のチョコレートに仕上げました。国際的な有機認証を取得したオーガニックチョコレートを使用。板チョコレートは有機JAS認証を取得しています。

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フェアトレードチョコレートの生産者

第3世界ショップのフェアトレードチョコレートは、スイスの生産者から届きます。チョコレートに欠かせないカカオや砂糖、バニラをただ購入するのではなく、生産現場に直接赴いて、カカオ農家や砂糖農家への有機栽培の指導や、現場の生活の改善・品質向上プロジェクトに取り組み、フェアトレードにより生産者との長期的な関係を築いてます。その努力は着実に現地に根付き、収穫した生産高の買取保障、公正な労働賃金の支払、有機農産物に上乗せ支払い、児童労働や強制労働の禁止、健康保険の付与等の仕組みが確立されています。

チョコレート生産者

カカオの実から豆を取る様子

フェアトレードチョコレート生産者の取り組み

第3世界ショップ設立よりも10年ほど前、子どもたちの歯の健康によい、ミネラルを多く含んだ砂糖を開発する会社が誕生しました。今のスイスのチョコレート生産者です。チョコレート消費量が世界で1位とも2位とも言われるスイスにおいて、砂糖以外の原材料も、作る人にも食べる人にも健康に良いオーガニックの原材料のチョコレートを作り始めます。

第3世界ショップは初期のころからスイス生産者とお付き合いがあり、チョコレートを輸入しています。その歴史はかれこれ20年になります。継続的・安定的なパートナーの1つです。私たちがスイス生産者に共感できるのは、彼らがチョコレートの原材料に欠かせないカカオや砂糖、バニラをただ購入するのではなく、実際に生産現場に直接赴いて、農家と長期的な連携を推進してきたことです。

途上国の現場の生活の改善や品質向上のプロジェクトの推進を、長期間にわたって取り組むことは並大抵のことではありません。

その努力は着実に現地に根付き、収穫した生産高の買取保障、有機農産物に対する割増価格として10%~25%の上乗せ支払い、有機認証取得のための金銭的また組織的支援、代金の前払い、児童労働や強制労働の禁止、男女の労働賃金の平等、有機栽培に関するワークショップの開催、農業必需品の支援、公正な労働賃金の支払、健康保険の付与等の仕組みが確立されているのです。今、現地の農家は自ら自立して、小さな協同組合を運営しています。

それでもスイス生産者は、現状に満足していないと言います。直接、原料生産地に関わり続けないといいモノ作りはできないという想いのもと、フェアで持続可能な貿易の恩恵を広げたい、より多くの人々の生活改善のために動きたいと、今でも積極的に新プロジェクトを始めています。

チョコレートを手に取る方には、現地をより身近に感じてもらい、世界に対して同様の積極的な貢献が行えるように、と願っているのです。

カカオ生産者のアントニオさん

カカオ農家の問題解決、ドミニカ共和国の事例

第3世界ショップのチョコレートのカカオ豆の主要産地であるドミニカ共和国は、人口約1,041万人。面積は九州に高知県を合わせたぐらいの広さがある、カリブ海に浮かぶ小さな島国です。国の産業はかつてはカカオを含めた一次産品の輸出国でしたが、最近は鉱業や観光業にも力を入れているようです。

カカオは、カカオベルトとも言われる赤道を中心に緯度約20度以内の熱帯地域で育ちます。カカオ豆の生産量が多い国は、ドミニカ共和国のほかには、コートジボワール、インドネシア、ガーナ、などが有名です。ドミニカ共和国は一年中日本の真夏のように湿度が高く蒸し暑く、これがカカオの生産に向いているのです。

スイスのチョコレート生産者は、品質のよいカカオ豆を安定的に購入するため、フェアトレードの理念に基づき、1999年にドミニカ共和国に子会社を立ち上げ、現地のカカオ生産者とともに共同プロジェクトをはじめました。

これまで、カカオの農家たちは、仲買(なかがい)人のトラックが通るとそこにカカオを売って現金収入を得ていました。しかしこれでは、いつ仲買人が買いに来るか分からないので収入が安定しません。また、来たときにはなるべくたくさんのカカオを売りたいと思うので、熟していないカカオなどもとってきて売ってしまうので品質もよくありませんでした。

カカオ豆の出荷

そこで、「よい品質のカカオを生産すれば、すべて適正価格で購入する」と取り決めました。これはカカオ農家たちの収入の安定を保証することになり、そのおかげで彼らはカカオの栽培に打ち込むことができるようになりました。

さらにカカオの有機栽培の指導を行い、カカオ豆の品質の向上に努めていきます。年に二回、専門家を招いてワークショップを開催したり、カカオ豆の発酵・乾燥をさせる加工工場を作ったりしました。こうしたプロジェクトに参加する農家は年々増えて、今では約1,000を超える農家が参加しています。

カカオ生産者たちはスイスのチョコレート生産者のサポートにより、フェアトレード認証と有機認証を取得することができ、遂には自立的な協同組合を設立するまでに至りました。プロジェクトを通じて地域の学校や加工場が建設されたりしました。

現在、農家の協同組合では、フェアトレードのプレミアムで得られた利益を、カカオの木の植え替え、カカオ生産のための新しい道具の紹介や配布、井戸の建設や道路づくり、組合自体の技術や能力の強化といったことに活用し、農家自身の力でコミュニティや自分たちの生活を向上させることに成功しています。

スイスのチョコレート生産者にとっても、品質の良いカカオを安定して購入することができるようになり、お互いにとってメリットのあるwin-winの関係になっています。

さとうきび農家で荷物を運ぶ牛

粗糖生産者の問題解決、パラグアイの事例

第3世界ショップのチョコレートの粗糖の産地であるパラグアイは、日本の約1.1倍の面積ですが、人口が約685万人しかいない、人口密度の低い農業国です。牧畜も盛んで、人の数よりも牛の数が多いといわれるほどです。

パラグアイには、土地なし農民のデモが多いという問題があります。元々土地を持っている農家でも、土地は高く売れる引き合いがあるとすぐに売ってしまい、数年は何もしなくて暮らせても、お金が底を付くと収入源がなくなって、デモを起こすのです。

さとうきびを作る農家が自分たちの土地を売らずに農産物を栽培して収入を得ることができれば、安定した生活を得ることができます。そこで、スイスのチョコレート生産者は、パラグアイの生産者とともに1998年から合弁事業を行い、この問題解決に取り組みました。

さとうきび農家の様子

パラグアイ側は高品質の粗糖製造に集中し、スイス側は製造設備への投資、豊富な技術や有機栽培に関するノウハウを提供、国際的なマーケット戦略の組み立てを行います。消費者と生産者が直接声をぶつけ合うという共同事業の方法は、生産から販売までを滞りなく遂行できます。おかげで地域の問題解決だけでなく、質の高い粗糖を世界に向けて販売することに成功し、長期的で継続する関係が築き上げられています。

粗糖生産者は主要な認証を取得していて、2004年からはフェアトレード認証も取得しています。そのプレミアムで農家たちは、製造工程に必要な新しいボイラーを導入して効率をあげたり、金属探知機や糖蜜のための新しいタンクを購入したり、トラクターやさとうきび栽培で必要な機材を購入したりしています。

また、村の診療所にいすを寄付したり、小学校へ文房具を寄付したり、消防署や警察署の修繕に使ったりと、コミュニティへの還元・慈善事業にも使用されています。

この合弁事業では、管理職に就く女性が3人になりました。これは男性優位の社会風潮が根強く残る南米で、女性の社会進出が進む先進事例でもあります。そのうちの1人は、男性が伝統的に担っていた生産管理の職に、2016年から就いています。この画期的な取り組みにも注目です。

有機酪農家クリストフさんの農場

良質なスイス産有機ミルク

第3世界ショップのスイス産ミルクチョコレートやホワイトチョコレートには、スイスの有機基準をクリアした全粉乳、脱脂粉乳が使われています。有機認証の中には、例えば牛や牛乳だけが認証を受けて、同じ農場で飼っている豚など他の家畜や作物は有機認証がないなど、特定の畜産に限って認定を受けることが可能な場合がありますが、スイスの場合はその農場全体が有機の認定を受ける必要があります。この点において、スイスの有機認証はより厳しい基準となっているといえます。

有機粉乳の原料となる牛乳を生産する有機酪農家の1つ、クリストフさんは、1992年から父親と一緒に有機畜産を始めました。農場には、放牧された牛のほか、鶏を飼育し、オーツ麦やリンゴの栽培などをしています。農場すべてが有機農産物、畜産物です。飼っている牛、一頭一頭に名前をつけて、愛情たっぷり大切に世話をしています。牛に与えるのは牧草のみ。夏は自然に生えている草を、冬は夏の間に作ったヘイと呼ばれる干し草を与えます。他の農場では牛用のトウモロコシや大豆を与えるのが主流のようですが、「何より大事なのは、自然な方法で育てること。たとえ生産量が少し少なくてもね。」とクリストフさん。

搾乳は1日朝晩の2回。牛の出産シーズンは1月末から3月下旬ごろですが、その前の11月末~1月下旬までは搾乳をお休みし、牛とともに来るべき出産に備えます。畜産が有機認証を受けるには、環境保全とともに、アニマルウェルフェア(動物福祉)が求められますが、クリストフさんの農場の牛たちは、のんびり元気そうで、ストレスなく日々過ごしている様子がうかがえました。