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PAのランク制度について

月刊PressAlternative1998年1月号
スタッフ物語より抜粋

■給料について

PAを作り、働くということでは決して怠けることはしない働き者の集まりだった。
独立採算になり、みんなどんな仕事でも声がかかれば一生懸命だった。徹夜徹夜での印刷、そして大量の帳合い、家庭教師、バザー、Tシャツ作り、バッチ作り、お金の重みを教えられる一時だった。

独立採算を取り入れ最初に出てきた問題がセクショナリズムだった。
自分のところの仕事を第一に考えるために引き起こす軋みだった。また、お金を稼ぎやすいセクション、稼ぎにくいセクションが出来、給料に差が出始めた。
自分で稼ぐことも大事だが、人のことを 思いやる気持ちも大事と一番低い人の給料にあわせて全員同じ額にした。そうすることで稼げない人を皆でバックアップしなければ自分も給料を取れない仕組をとった。

バックアップをしすぎると、甘えが生じ、しなければ給料のギャップが生じる、その時その時生じる問題を話し合いながら数年間試行錯誤を続け現在の給料制度にたどり着い た。
始めて3年間は独立採算ということで給料の最高金額だけを決めて全員同じ条件でやってきた。しかし、段々新しい人も入るようになり全く同じ給料と言うのも問題が有るのではと言う提案が出され検討した。キャリア・働く年数・年齢ではなく働く全員が自己申請をした。

■ランク制

A/B/Cと攻めのランクの4つのランクに分けることにした。

  • Cランクは、時間を守る、決められたことを守る
  • Bランクは、仕事の共有が出来る
  • Aランクは、判断が出来、人の面倒を見られる
  • 攻めのランクは、守りが出来、外へ出て仕事を取れる

各々が自分で決められたシートに書き込み、先ずは自己申告でランクを申請し、次に全員で本人が申請したランクでいいのかを議論する。
このランクを決めるのに全員日曜出勤し一日がかりで決めた。
11年目を迎えた今ランクが7段階になっている。

このランク制度になってから毎月月末迄に1ヶ月の自己評価を出し、セクション毎に給料会議を開き1ヶ月間の仕事の評価を互いにする。各々が自分のランクに有った仕事をしていれば自分のランクの満額申請をし、まわりからも認められればその金額がその月の給料になる。

ただ、本人がいくら満額申請をしても周りからそんなに働いていないよ・・・と言われてしまうとマイナスすることもある。実際には、むしろ本人から今月は満足な仕事が出来なかったとか、こんなミスが有ったのでマイナス@千円と言う申請が出ることが意外に多い。周りからあのミスはやむおえないのではないかというフォローが入り、マイナス申請の額を減らしたり満額になることが多い。

毎月給料申請をし、給料会議を開いていくことは大変だが、 毎月の仕事の評価をきちっと出来ると言うことではやる意味は充分ある。また、自分の仕事の検証だけではなく、一緒に仕事をしている人、同じ会社で働いている仲間の評価ができるかどうかと言うのがその人の仕事を大きく変えていくきっかけになることが多く、自己評価も他人の評価も大変だがこれはいいルールだと思っている。


あだち ゆきこ

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