編み物で被災地を応援!「ニットプロジェクト」
ニットデザイナー 三園麻絵さん
現在WWBでは岩手県宮古市を中心に東日本大震災被災地応援「ニットプロジェクト」を起業セミナー卒業生でニットデザイナーの三園麻絵(みそのあさえ)さんとフェアトレード事業(※)を行っている「第3世界ショップ」と協働し、岩手県宮古市で行っています。
WWBで岩手県洋野町の庭静子さんの加工所再建をサポートした時、「自分にもできることはないか」と声を上げてくださったのが三園さんでした。スクール受講時から「編み物には癒しの力があると思う。日々に追われている人や何か悩みを抱えている人たち、特に若い方の心のサポートに役立つような起業がしたい」と言っていた三園さんの想いをヒントに、被災地で不安を抱える方々の生きがい創りを目指すこのニットプロジェクトが始動。開始から約1ヶ月経ち今の想いや今後の抱負を伺いました。
【インタビュアー:WWB/ジャパン事務局 山口真穂】
※フェアトレード・・お金で途上国を援助するのではなく、仕事を創り、その商品を彼らが生活するに足る値段で購入することで応援しようという貿易の仕組みで現在は国内外に関わらず実践。WWB/ジャパンはこの活動を発端に生まれました
☆ニットプロジェクトのこれまでの経緯・詳細はこちらでご紹介しています
●自分のやりたいことにチャレンジしながら、それが誰かの役にたっている実感
山口:今日はありがとうございます。2月に起業スクールに来て下さった時、「編み物の事業で特に若い方たちに向けてやってみたいけれど、受け入れられるのか不安」とおっしゃってましたよね。実際今回やってみてどうでしたか?
三園さん:実は現地でやる気をもってくれたのは若いママさんたちだったんです。そして意外にも「編み物は全くの初心者です」という人がいなかった。(編んでいて)皆楽しそうで。ずっとデザイン畑で、教えるのは私も今回が初めてだったので「あ、結構楽しんでもらえるんだ〜」って嬉しい発見でした。
山口:被災地の方も「何かを一方的にやってもらうだけ」って状況が続いたらきっとしんどいですよね。「大変だと思うから、気晴らしになるので教えてあげます」ではなくて「ちゃんとお金もらうんですよ。一緒に頑張りましょう!」って、そういう同じ目線でやろうっていうスタンスが新鮮だったのかもしれません。現地からのアンケートにも「こんな取り組みを待ってたんです」って手書きで書かれていました。
三園さん:嬉しいです。なぜ若い世代に伝えたいと思ったかというと、世の中「新しいモノを出来る限り安く」っていわゆるファストファッションの傾向ですよね。そういう世の中で、わざわざ編み解いてって、よく考えると(効率性や経済性などと)全く逆のことやろうよって言っているわけじゃないですか。それがどういう反応だろうって不安でした。
でも編み解くことで、愛着の持っている商品をもう一度生まれ変わらせることもできるんじゃないかと。その中で、「物を大切にする心」も育めればっていう気持ちもあったんです。実際やってみたら喜ばれて、「やっぱりそういう需要はあったんだー!」と実感できて、それが嬉しかったです。
●1人ではできないことが、持ち寄りでかたちにできる
三園さん:実は過去にも編み解くことを考えたことあったんです。でも(業界の常識とか商業ベースの)自分の今いる世界の中で考えると、理想だけど現実難しいでしょって止まっちゃってたんです、ここに来るまでは。経験のある人にも皆「そんなの製品にならない」と言われました。でも、ここに来て、奥谷さんが「いいじゃない。やってみようよー」と。
山口:奥谷も、「祖母に(編み解く)アイデアを伝えたら自分は昔よくやっていたのに、『それ仕事としては無理だよ。厳しいよ』って反対された」と言っていました。そう言いながら編み物の本とか借りてきて、「出張の新幹線の中で作ったよ」って楽しそうに見せてくれたりとか(笑)飛び回っててどこにそんな時間とパワーがあるんだろうって思いながら「あ、それでもやっぱりやるんだな。やりたいんだな」って(笑)
ビジネスって、いかに儲けられるかとか、利益率が高いとか効率性がいいとか、そういう物差しだけじゃない。「それが誰かに喜んでもらえて必要とされていれば、自分が本当にしたいことをを突き詰めていってください」って私たちはずっと言っています。そういうことを言うと、「そうは言ってもお金がないと・・・」という人がいるけど、ちゃんと必要とする人=需要があってきちんと押さえるべきことを押さえて一所懸命働けば、「誰かのためという想いややりがいからはお金が生まれない」というわけじゃないんですよね。WWBの起業家はそこをちゃんと両立しているし、起業セミナーに来てくださる人もそういう部分に共感してくれている人が多い気がします。
でも実際、毛糸も人材も制約のある中での作業ですよね。壁にぶち当たったり、工夫が必要なことが山程出てくると思うんです。それはしんどくないですか?
三園さん:一筋縄ではいかないなあ〜って予想はしていましたけど、実際そうで(笑)でも制約があって、工夫が必要な状態が逆にワクワクするというか。普段デザインの仕事をしていると、材料も自由にいい物を選べて、それを投げれば良い編み手さんや工場がそこにはあって、依頼さえすれば製品が出来上がっていた。その中で格好いいもの創るのは、ある意味誰でもできるんですよね。
でも今は、決まっている材料の中で、ほぼ初めての方たちに指導させていただいてる。そうすると問題が起きたり、説明も工夫しないといけない。それが苦痛じゃなくて、逆にとても勉強になるんです。
●自分の持ち寄れるものを最大限生かして、お互いがハッピーになれる関係性を
山口:課題が振ってくると、職人魂に火がつく感じですね(笑)
今回被災地という特殊な状況下ですけど、今後どんなことがしたいですか?
三園さん:ただ「一つのモチーフを作った」だけじゃなくて、それが可愛いモノになっていくイメージが見えてくると「あ、キャリアがない自分でもできるんだ」って自信につながります。自分が編み物を始めた時もそうだったなって思い出したんです。そう思うと、技術向上も面白さがあると思っていて。今までは「ロットがいくつ以上でないと・・・」とか、やっぱり商業的で「たくさん儲からなければ意味がない」という考えが主流だったと思います。そうではなくて、お金はそこそこでも、作り手の成長や製品の質に買い手も作り手もお互いが満足できればそれも一つのブランドになるのではと。
まだどう転ぶかわからないけど、日本の編み手市場で、「ママさんたちの手芸クラブ以上のもの」がどこまでできるかっていうのにチャレンジしてみたい気持ちが出てきました。まだまだ野望というか、夢ですけど(笑)そんな風に今は思っています。
山口:素敵な夢です!きっと、これからチャレンジしたい人にとってもそういう先輩がいることは心強いと思います。ぜひ実現してほしいです。これからも宜しくお願いします!
*その後三園さんがくださったメールをご紹介します*
数時間前に岩手宮古より戻って来ました。
たくさんの被災された編み手さんに出会え、皆さん本当に楽しそうに
編み物している姿を見て、とても嬉しかったです。
帰り際にはプレゼントいただいたり、皆さんにとても感謝されました。
本当にこういう支援を待っていたようですね。
私も実際被災地や避難所を訪れて、そこで生活している人たちの不憫さを目の辺りにし、
やはり衝撃的でした。これがいつまで長引くのだろうか。。。
ほんの少しですが、自分の支援が役に立つのなら、一緒に頑張っていこうと思いました。
では、また来週末の宮古出張に向けて準備がんばります。
よろしくお願いします。
(インタビュアー:WWB/ジャパン 山口真穂)
※被災地応援企画「ニットプロジェクト」製品先行購入予約はこちらで受け付けています
※2012年3月4日NHK総合番組「さきドリ」にてニットプロジェクト・編み手さんの1人・盛合道子さん(岩手県宮古市)が紹介される予定です
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