今月の起業家インタビュー 2007年1月

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開拓精神が農村女性起業を常にリードする
農家レストラン 穂波街道の庄司祐子さん「農家レストラン 穂波街道
」 
庄司祐子さん(山形県鶴岡市)

実りの秋。頭を垂れる稲穂が一面に広がり、山は赤や黄色に色づき、日本の景色は改めて素晴らしいと感じる季節。かつて東京から農家に嫁いだ秋に庄司祐子さんの目に飛び込んできたのも、そんな庄内平野の黄金色の稲が波打っている様子でした。「穂波街道」という名前は、当時のことを思い起こして直感的に浮かんだそうです。
 

●他にやらないことにチャレンジ

穂波街道のガーデン 庄司さんは有限会社を立ち上げ、20年前にすでに自分の畑で採れた野菜の直売所を、行政等の支援なしで始めました。「珍しいこともあって遠くからわざわざ買いに来られました。そしてこのお客様と話しているうちに、ここで食事を提供する必要性を感じました」と庄司さん。この直売所を採れたての野菜をいっぱい使った農家レストランへと10年前に変えました。さらに外国人に田舎暮らしを体験してもらうために農家民泊を手がけたり、都会から来る人にレストランで手づくりのピザを作ってもらう体験コースを作ったり、まさにグリーンツーリズムの先駆け的な実践者といえます。
  庄司さんと話していくうちに、農作物を作って売る生産者から加工して売る起業家へ変わるためのポイントに気づきました。それは協調性重視の体質から脱却して、実験精神と好奇心で知恵を出すことなのです。商売では周りとあわせて同じものを作ると必ず価格競争に陥ります。違うものを出して、消費者に選択肢の幅を増やすと集客が出来るのです。誰もやっていないことへの挑戦、庄司さんの20年はこの実践を体現しています。

●変化やニーズに応える

お客様ごとのお料理を心がける庄司さん では、他の人がやっていないことをどうやって見つけるのでしょうか。それはお客様との会話の中からニーズを汲み取り、想像力を働かせることなのです。
彼女はお嫁に来た当初、誰も話す相手がいなくて、孤独と闘いながらいろんなことを自分の中で思い巡らせていました。そしてお客様と積極的に話をして、その中からヒントを得ます。食事をしたそうだ、だったら屋台風に出してみようと、すぐにレストランは作らずに、まずはお金をかけずに小さな試みを積み重ねていくのです。
  「ファミレスでもスーパーでもない、うちにわざわざ来てくれるのには理由があります。1つは仕込みが出来合いのものは使わず、すべて自家製であること。来店の少ない日や閉店後に集中的に仕込んでストックします。そしてコース料理で出しているもの以外にも、なるべくご予約いただいたお客様からのリクエストにはお応えしています。例えば、ベジタリアンならばお肉・お魚抜きの料理を、パスタ以外の料理をご注文されたらニョッキなど別の料理をご用意します。1つ1つ対応したものについては予約帳にお名前と共にメニューを書き残し、次の予約の時に注意します」。ここまでのきめ細やかさがあるからこそ、何度でも足を運びたくなるのです。

●厨房に入っても接客の目線を

穂波街道の店内の様子 80人ほど収容できる大きなレストランなので、厨房には専門のシェフがいます。お客様からは見えないところにいても、庄司さんは歯磨きの仕方から靴の汚れを気にするところまで、徹底した社員教育を行っています。料理さえ作れればいいとのことではなく、緊張感が料理に現れると考えているからです。
  「今、料理長が病気で倒れて私も厨房に入っています。作る側の論理になってはいけないのです。お二人で来店して、違うお料理を注文されたら、アツアツのものを同時に出さないと。厨房はてんてこ舞いですが、それがレストランとしてのサービスだと思うんです」と庄司さん。千手観音のごとくあれこれ手が動くという器用な彼女の背中を見ながら、東京からUターンした息子さんをはじめ、スタッフは皆、彼女の姿勢を学んでいます。
 ピザ専門店を開店したばかりの穂波街道。米の消費拡大に向けて「米姫(まいひめ)の会」も結成して活用方法も研究しており、庄司さんのますますの活躍が期待されます。

(まとめ WWB/ジャパン 奥谷京子)

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