市民バンク


融資事例紹介

 これまで市民バンクでは140件以上の起業家たちに融資をしてきました。ここでは市民バンクが融資をした起業家をご紹介します。


「地域のニーズに応えた質の高い保育」 バンビ保育室 鈴木圭子さん
「アメリカでのエコロジーキャンプツアー」 ワイルドアースプロジェクト 大倉延子さん



バンビ保育室 鈴木圭子さん

「地域のニーズに応えた、質の高い保育」

アットホームな保育室
 バンビ保育室では0歳から3歳までの幼児を預かっており、家庭的な温かさと質の高い保育が口こみで評判になっています。預けに来る保護者の方には必ず部屋の中に入ってもらって、子供の名札をつける等の時間を持つと、親も子も別れる時に気持ちの余裕ができるんでしょうか、『行ってくるね』と言われて『バイバイ』『がんばってね』なんて笑ってこたえられるような雰囲気つくりを心がけています。

準備の時に生きた豊かなネットワーク
 もともと子供が好きで何かしたいと常に考えており、子育て支援アドバイザーと言う地域のボランティア活動に参加していた時、働く女性のために区の保育課が民間による“駅前保育”を奨励している事を知り、また運良く子育てアドバイザーの養成講座によって、必要な資格は取ってあったので保育室を始めることにしました。場所、人、資金と、考えられないほど順調に進み、綾瀬で保育室をやっている知人のところに約1ヶ月通いノウハウを勉強しました。物件は知り合いの人が1日で見つけてくれ、その大家さんが偶然中学の同級生で、普通なら100万くらいかかる契約金を交渉して30万で借りることができました。壁や床は自分で張り替え、おもちゃなどももらったり安く譲ってもらったりして、開業にはなるべく費用がかからないよう創意工夫を重ねました。食事も始めは全部自分たちで作っていました。
 オープンしてから順調に子供は増え、定員オーバーでお断りまでしている状態に、地域社会からのニーズの高さを改めて実感しました。

足立区の支援を受けながら
 足立区では1000人弱の子供が公立保育園にはいられないでいる状態で、これは23区で一番多いため質の良い民間保育に対しては区から補助が出ます。時間外など多様なニーズに応えられるのは民間ならでは。補助金制度の件については、常に区役所にはいろいろな相談に行き、場所についても梅島駅前に同じような施設が無いとのアドバイスを受けていました。公立の保育園の献立表をもらったりして、常に区とのコミュニケーションを図っていました。

市民バンクの融資が決定

 バンビ保育室は、働く女性や、保育が必要な子供のための社会が求める事業です。鈴木さんの事業に対する誠実な姿勢に加えて、足立区の積極的な支援もあり将来性が高い事などが評価され、市民バンクの融資が決まりました。「書類を作成する時も気軽に相談できて、地道な経営への的確なアドバイスをもらったんです。WWBジャパンのスクールの時の『これからの時代は儲け主義はいけない。経営者だからとふんぞり返るのもいけない』という言葉に共感し、現場を大事にしていこうと思いました。」助成金をもらうまでは、赤字になりますが、働いてくれている人に月給は払いたかったので自分で工面しました。融資のお金は初期の運転資金として、ほとんど人件費にあてました。

保育全体のレベルアップをめざして
 『子供をバンビ保育室に預けて良かった。』『バンビ保育室で働いて良かった』と言われるような保育室にしたいですね。「民間の保育士さん達の交流会をもちたいと呼びかけているんです。お互いの良いところを学び合って、小さくても質の良い保育園が増えて、保育全体のレベルアップを目指していきたいです。

バンビ保育室HP:http://www.npo-it.com/bannbi-2/



ワイルドアースプロジェクト 大倉延子さん

「アメリカでのエコロジーキャンプツアー」

英語教師としての歩み
 私は30歳の時に夫と離別したため、2人の子供を食べさせるためには何をしたらいいかずっと考えていました。子供のそばで生活しながら収入を得ていけたらいいなと思い、10年間アメリカに滞在した経験を活かし、自分で英語教室を作りました。
 私は「継続すれば英語は必ず身に付く」と考えています。しかし、子供たちに勉強を継続させるためには、他の英語教室にはない工夫、つまり差別化が必要です。例えば、私が教室に着ていく洋服はすべて手作りで、生地は明るい色を選び、ポケットを一杯くっつけて、「ドラえもん」のように、いろんなところから教材を取り出します。これは私自身を元気一杯に見せ、子供が興味を持ってくれるための演出なのです。さらに、私自身が歌や踊りが大好きだったので、英語でミュージカルもやりました。ご家族の方をお招きして発表会を開き、好評でした。「今日1日でも私が手を抜いてしまったら、来週から生徒が来なくなるかもしれない」、そんんな緊張感と、自分の感性を頼りに、努力してきました。

みんなが期待したキャンプの現実
 そもそも私がエコロジーキャンプを始めようと思ったのは、若い頃に体験したアメリカでの感動です。大自然に包まれ、自分自身がとても大らかな気持ちになりました。狭い日本の中でいじめや競争に振りまわされている子供たちにも経験して欲しい、その想いが強まったのです。
 最初に始めたのは1989年でした。英語教室で応募のあった8人の子供たちと2週間のキャンプを行いました。そのキャンプが素晴らしくて、私の伝えたかった感動を子供たちはしっかり覚えてくれました。本腰を入れてこのエコロジーキャンプをやるには、自分自身でキャンプ場を持って、きちんとやりたいと思い、夢を語り始めました。
 アメリカ人の友人から、ワシントン州北西部にキャンプに適した土地があるという話が持ち上がりました。広さは東京ドーム6個半分。とても魅力的ではあるけれども、私の手元にはほとんどお金がありませんでした。そこで、まずオーナーに交渉して、自分の可能な範囲で徐々に返していくことでOKが出て、キャンプ場を購入することが出来ました。

夢に賭けてくれた市民バンク
 キャンプ場の下水道等の設備も徐々に良くしてきました。しかし、広大の土地のため、いくらあってもお金が足りません。ちょうどその時に市民バンクの存在を知ったのです。
 当時、主人もおりませんし、担保となる家も財産もありませんでした。国民金融公庫(現・日本政策金融公庫)に行っても話しすら聞いてもらえず、「大倉さん、まずはあなたの老後の人生設計を考えたらどうですか」といわれる始末。しかし、市民バンクでは「夢作文」をクリアーし、2回目に面接で「担保もありませんが、返す自信だけはあります」と言いました。そうしたら「では、私たちは大倉さんの夢に賭けましょう」と、800万円も貸してくれました。
 私はその時に「あ、救われた」という思いがしました。自分自身を助けていただいたということもありますが、世の中にある矛盾や問題だと思っている不合理な部分を解決しようとすることがあるんだという気持ちです。土地を提供してくれたオーナーも、協力してくれる旅行代理店も、市民バンクも、私に自信とエネルギーを与えてくれました。さらに、参加した子供を見て「子供が変わってきた」と、ご父兄からも何百万円も寄付をしていただき、応援してもらっています。

エコロジーキャンプを続けてみて
 子供たちが学んでくることは様々です。山の中に一人でいる時間がツアー中にあるのですが、五感を使っていろんなことを感じ取ってくれます。「風の音が聞こえた」、「リスや鹿がこっちを向いてくれた」とか、大自然の中にいるとみんな素直になるんですよね。キャンプに参加した子供たちの感想文集を作るのが何よりの楽しみで、一番の財産です。
 皆さんに声を大にして言いたいのは、やりたいことをやるべきだということです。お金も人も後からついてくるのだなって実感します。

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